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とりあえずやってみよう
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一昨年の2007年5陣とグレートキャラバンの体験から。




草原を体験したのは、
肌寒い八月の終わりの内モンゴル



もうすっかり馬臭くなったジャケットを着て外に出た
俺を吹き抜ける風の音

満天の星と天の川
そのお陰で浮かび上がる黒い地平線

それだけの世界

およそ草原とは言えないような乾いた大地を
音がしない方に歩き出した

星空に薄くかけられた雲は
月の輪郭を滲ませる

ジーンズの足襟が擦れる音
靴が小石をにじり、硬い砂を削る音
自分の呼吸音

それだけの繰り返し

うねるような草原に、一人の人間が生えていた


ごっそりと削り取られた、枯れた川の跡

暗さゆえ、底の見えない草原の穴


静寂が聞こえた


なにかに言われるまま、川底へ降りる

そして頭が地面の高さよりも低くなった時、

音が消えた


俺は崖の上を見た

背の低い草が朧気な月と重なって揺れていた

耳があるから
鼓膜があるから
なにより存在しているから風は聞こえていた

体が草原と同じ高さになったとき

俺は人ではなくなった

草原になった

大地になった


そして気付いた
大地は風の音を聞くことはないと

そこに草が生え、馬が走り、人が立って初めて風は音を出すのだ

風の音は遮るものが無いと聞こえない

そして大地は己だけでは砂漠へと果てる

草原は、
そこに生きるものから風を聞きながら
そこに降る雨から己を感じながら
そこにできた広大な水溜まりから風を見ながら

ずっと昔から変わらずにあったのだと知った


砂漠?

それは己自身が動かされることで風を体験する

しかし多分、それを得るのは太陽と風の偉大さを知ったあとだろう

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